止まない雨はない
弁護士の先生だったんだ。
あっ。さっき会議室にいた先生がこの人の事務所の人なんだ…

『弁護士さん…ですか。
 先ほど、事務所の方がお見えになってらっしゃいました。』

「そう。ありがとう。ちょっと書類を一通渡すのを忘れてて、急いで持ってきたんだ。」

『そうでしたか…すいませんでした。
 では、受付でお話していただけますか。』

「はい。もう大丈夫ですか?
 あの…失礼ですが、あなたのお名前をうかがっても?」

私は名乗りながら、名刺を渡した。
『では、失礼します…』

早足で、外に出て書類を届けるために向かった。

その時、その男性が何か言っていたみたいだが、まったく聞こえていなかった。
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