...Melting Love...―愛檻―


頼りたかった。
甘えたかった。

泣きついて、こんな風に抱き締めて欲しかった。

「亜姫は悪くない。お母さんも、悪くないよ」

こんな風に、言って欲しかった。

「亜姫は頑張ってる。エライよ」
「二楷堂は……ズルい……」

優しく抱き締めながら、落ち着いた声で話す二楷堂。
子どもをなぐさめるような仕草が、心地よくて気持ちを落ち着かせてくれた。

「好きな子に優しくしてるだけ」
「……まだ言ってる」

その夜、私は随分泣いていたけど、二楷堂はその間ずっと私を抱き締めて頭を撫でてくれていた。
おかげで二楷堂の着ていた服はびっしょりで。
それを謝る私に、亜姫が初めて俺に甘えてくれた証拠だからと優しく微笑んだ。

二楷堂は本当に呆れるくらい甘くてタフで……優しくて。

そんな二楷堂に惹かれる気持ちが日に日に大きくなっていて、それを隠している胸が悲鳴を上げていた。










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