形見





翌日の姿現しを、十希は嫌がった。



生き神が発するひりひりするような怒気に、屋敷の女中は一人も部屋に入れず、要がなだめても聞き入れなかった。



「何が嫌なんだよ?十希が行かないなら、俺が表行って村のみんなに謝ってくるぞ」



「だめっ!それはだめ!!」



ずっとふてくされたような生返事しか返さなかった十希が、その言葉に反応した。



「じゃあ、出るか?」



「……」



ため息を吐いて、要は部屋を出ようとした。



「待って!」



足首をぱしっと掴まれて、要は派手に転んでしまった。



「おい何す――」



「行っちゃやだ! 行かないで要っ!! 一人にしないで……!!」



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