俺様ヤンキーに初恋を捧ぐ
5.お互いの秘密
「お父さん、行ってきます」

「ああ、今日は早く仕事を切り上げるから、

一緒に病院に行こうな。これからの事も、

話し合わないといけないしな」


「うん、じゃあ、また後で」


「行ってらっしゃい」

元気よく玄関を開けると、

そこには、もう龍が立っていた。


「驚かせんなよ、勢いよくドア開けすぎ」

そう言って私の頭を軽く叩いた龍。


「ゴメン、ゴメン・・・今日も来てくれて、ありがとう」

そう言って満面の笑みを見せる。

その笑顔に応えるように、龍も少しだけ笑った。



そして歩き出した私たち。

…でも、龍がいつもと様子が違う事に、すぐに気づいた。


「龍?どうかしたの?」

「…いや、別に」


「そんなのウソ。龍、なんだか元気がないから」

私の言葉に、龍の足は歩みを止めた。


「…杏」

私の名を呼んだ龍の声はとても小さかった。
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