ウシロスガタ 【完】

運命

俺は膝を抱えて小さくなっていた。


店に行く前に少しだけでも逢える時の喜び……


店に行っちゃった後に仕事中に送ったメールの返信が早い時の安心さ……



店が終わった後のメールに飛びつき、急いで車を走らせて抱き締めに行った幸せいっぱいだった俺……



毎日、冷夏と一緒にメールだけの繋がりだったけど迎えてた朝……



思えば、俺はいつも冷夏とメールだけで繋がり、



そしてメールでたくさん愛を確かめ合っていた。



どんな時も、1番近くに感じられていた。




どんな時も……。





俺は鳴らない携帯を握りしめ、頭の中で鮮明に思い出される冷夏との日々に涙が零れていた……。





「無理だよ、俺……」




肩を落としながら、静かに目を閉じていた。

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