ウシロスガタ 【完】
「冷夏……」
車から降り、俺はその場に座り込み笑った。
「……るわけ、ね~か」
地面に思いっきり拳を叩きつけて、血がにじみ出ているを見ながらまた叩きつけた。
なんでだろう……
痛くないんだ。
それよりも、もっと胸の奥が痛くて苦しい。
「冷夏ーっ!!!!!」
『だって言ったでしょ?冷夏、待ってられるって……』
そんな冷夏の言葉が甦る……
「いねぇ~じゃね~かよ……」
握りしめてた拳の上に、目から零れおちるものが血を滲ませた。
「さみ~な、さみ~よ、冷夏……」
ひとりでいると、心も体も寒い……。
期待してたんだ、
少しだけ……なんて言ったら嘘になる。
冷夏はここにいるだろう。そう思っていたのに……
本当に終わりなのかもしれない。
そう思ったら、情けねぇけど、涙が溢れて止まらなかった。