ウシロスガタ 【完】
ーー♪~♪~♪♪~♪ーー



「なんだってんだよ!!」


再び鳴り始めたふざけた着信音に、俺は頭をかきながら電話に出た。



「なんだよ」


「おめぇ~はなんなんだよ!勝手に切んなよ!!!」



今までの自分の行動をゆっくり思い出し、自ら何も言わずに中西の電話を切っていたのが甦ってきていた。



「あ、ごめん」


「ごめんじゃねーよ、気分わりーな」


「マジ、わり~」


「ま、お前は少し頭を冷やせよ!今はカッとなってるかもしんねーけど、いま失おうとしているものが、お前にとってどんだけ大きい存在か、よく考えろ」




それだけ言うと、今度は中西から電話を切った。





俺には冷夏が全てだった。




夏の始まりと共に始まった1つの恋……




この夏、俺は毎日、冷夏とのメールで1日が始まり、



俺が眠りに落ちる直前まで一緒に朝を迎えながら「おやすみ」そうメールを打ち、1日を終わらせていた。





そんな冷夏と今、離れようとしている。



俺は閉じた携帯を開き、メールを開いた。








「れ、いか……」



俺のすすり泣く声が、静かな2人の秘密の場所で響いていた……。
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