ウシロスガタ 【完】
冷夏の車が発進した後に、俺もエンジンをかけた



冷夏の車が
どんどん遠くなって行くのを追いかけるように……


ギアをドライブに入れた。



冷夏の家と俺の家は本当に近かった



俺は前に走る冷夏の車をただ見つめながら走った




冷夏の姿なんか車から確認出来ないくせに



俺の心臓はまだ、
激しく動いていた





ーーフォン、フォ~ン♪♪ーー



冷夏がウインカーを出し曲がる手前でクラクションを鳴らしたのを確認して


俺もクラクションを鳴らし返した




《気をつけろよ!!》



そうメールを送信して、
急いで家へと向かった。



ーー♪♪~♪~♪ーー


《着いたよ♪翔クンは着いたかな??》


俺はエレベーターを乗りながら冷夏のメールをにやけながら読んでいた



“翔クン、かぁ……”



【さとクン】

そう呼んでいた冷夏が


【翔クン】

そう呼ぶ変化に1人ただ浮かれていた



《今、着いたよ!!》


《そっか♪良かった♪♪》



俺は生ぬるい部屋に入り


エアコンをつけずに
ベッドに飛び込んだ



浮かんでくるのは冷夏の顔


今日1日で、
冷夏の色々な表情の変化に気づいていた





いつもなら、窓を開ける事なんて考えられずにエアコンのスイッチを入れるのに



今日はなぜか、
いつも…全くと言っていいほど開けない部屋の窓を開けて



外の風を感じていた。







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