冷たい世界の温かい者達




コト、ととうとう俺の肩に頭を置いた由薇は長い睫毛を伏せて寝ている。




……一本抜いてやりてぇ。




そんなことを思っていると、手元の竿がぐんっと引っ張られた。




ぐっと倍の力で引くと、鮎…だろうか?




魚が糸からぶら下がっていた。






「おー、朔が1匹釣ったぞー」




成一が楽しそうにそう叫んで、全員笑った。




「負けたら面倒くさいし、ヤバイかなー」




「朔が何気一番正常…かもな」





影助、どーいう意味だ。





ギッと睨むと、目を逸らして竿をフラフラと動かし始めた。







引っ張られ、引っ張りを繰り返した。






由薇の竿は、寝ているのを知っているかのように引っ張られることはなかった。





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