冷たい世界の温かい者達
「また朔一位じゃん‼ つまんない‼」
なんじゃそれ。
呆れて息を吐く。
まぁ、何もしていないが魚を多く取ったのは俺だった。
由薇に関しては一匹も釣ってねぇ。
それに、いまだ俺の肩に頭を預けて寝てるし。
「お願い、って何にすんの?」
成一は釣った魚をバケツに移しながらチラリと俺に視線を寄越した。
「……これと言って無ぇ」
「それもっとつまんない‼」
「いいですかっ‼ ノリとはですね…」と勝手に熱く語り出した衣緒を冷たく見ていると、千尋が岩から腰を上げた。
「とりあえず、中に入らない?
ちょっと冷えてきた」
確かに、少し肌寒い。
川の水だから海水特有の塩のべとべとは無いが、風呂には入りたい。
由薇…を起こさなきゃなんねぇんだけど…
起きねぇよな。
バケツを影助に預けて由薇を抱く。
「あー! 姫抱っこしてる!」と騒ぎ立てる衣緒に呆れを越してウザくなり、睨むと衣緒は成一の影に隠れた。
「とりあえず、屋敷に戻ろう。
朔、由薇頼むよ」
「あぁ」
由薇を抱いたまま屋敷への帰路を辿る。
その間も、由薇は起きる素振りも見せなかった。