冷たい世界の温かい者達




『……ん…』




小さく声を漏らした由薇に目を向けると、眉を寄せて眩しそうに目を開けた。




『…ん?』





イマイチ状況が呑み込めないらしく、由薇は目の前に広がる光景を目を細めてジッと見つめた。






キッチンの横にあった七輪を出してきて、炭と木と紙くずを入れて火を起こし、釣った魚を焼いている。




衣緒がはぐはぐと熱い魚を頬張っていて、成一はタバコを吸いながらぼーっと窓の外を見ていた。






ちなみに、ここは少し開けたベランダだ。





『…悪い、寝てたみたいだな……』




「あぁ、気にするな」



俺の膝から頭を上げた由薇はグッと伸びをした。





『……っで、大漁だったか?』



「うん!


朔24匹も釣ったんだよ?!」






キラキラとした笑みを浮かべて由薇にひっつく衣緒を剥がすと、衣緒は不満そうに唇を尖らした。




「独占欲の塊ー」


「うっせー、黙れ」




「おいおい、チビの身長がもっと縮むじゃねぇか。



このままだとドチビだぜ?」




「成‼ もっかい言ってみろ?!」



ギャーギャーと騒ぎ出した2人は飯もタバコも放り出して追っかけあっていた。




……ずっとやってれば、ヤニ吸わなくて済むんじゃね?





そんなことをボーッと考えていると、隣で由薇は眉を寄せていた。




「どうかしたか?」



『……いや、随分…静かだと思って』





『いつもはもっと騒がしい』と言った由薇の言葉の意味はわからなかったが、魚を一匹とって口に運んだのを見て気にしないことにした。







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