冷たい世界の温かい者達





木の影で少し暗かった視界は、突然切り開かれて眩しい光を溢した。





反射的に瞑った目をゆっくりと開けると、見晴らしのいい野原だった。






「う、わぁ……」




千尋は息を吐きながら、目を見開いて食い入る様に見つめていた。




影助も、目を細めてその景色を見つめながら口元に小さな笑みを浮かべた。





衣緒は何も言わず口を噤んで黙ってその景色を見ていた。





「空気が美味いな」



『ヘビースモーカーのお前にそんなこと言われても不安になるだけだよ』





サラリとそう言った由薇は目をつぶって伸びた。




『……さて、飯でも食うか?



そのうち寄ってくるよ』



全員で景色を見ながら弁当を食べた。






由薇の料理は相変わらず美味しかった。





談笑していると、由薇がふと森に目を向けた。






『……来たよ』






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