冷たい世界の温かい者達
由薇の視線の先に目を向けると、白いふわっふわの毛が見えた。
「うさぎだッ」
一番に飛びついたのは衣緒だった。
ウサギは耳をぴくぴくと動かしながら近寄ってくる。
……動物は、苦手なんだが…
『別荘の近くに居る動物達。
もうすぐもっと来るよ』
何時こしらえてきたのか、ニンジンをウサギにやりながら由薇は笑った。
由薇の言った通り、次々と動物が姿を見せた。
りす、とり、シカ、キツネ、たぬき。
最早、よくわからないことになっていた。
「うわぁ、もふもふ‼
うわーー、ザラザラ‼ てか痛‼」
……テンション上がりすぎて喜ぶところ間違ってんぞ。
由薇に寄ってくる動物達を由薇の隣で見ながら、その場の音に耳を傾けた。
『触ってみるか?』
ぐりっと俺にウサギを押し付けて、由薇はそのウサギにキャベツを食べさせていた。
「何か、ウサギが人間だったら、2人夫婦みたいだよ?」
ニヤニヤと笑いながら言った千尋の言葉に思わず赤面しそうになる。
「お似合いお似合ーい」
「ヒューヒュー」
こ、いつ等……っ
『ははっ、それは楽しそうだ』
由薇は笑いながらそう言ってウサギを撫でた。
……その瞬間、思考回路が絶たれた。
楽 し そ う だ ?
我慢しきれず赤くなった顔を片手で隠して下を向く。
『朔?』
「……」
「今はそっとしておきなよ」
千尋がカラカラと笑った声と、動物達の冷やかし声のような鳴き声が聞こえた。