冷たい世界の温かい者達
『ここに何しに来たんだ?
落ちたら厄介だぞ』
「いや、何その遠回しな言い方。
死ぬよ、でいいじゃん」
驚かされたことに少し怒って口を膨らますと、由薇ちんは頬を押さえて潰した。
『ほら、本当に危ないから』
由薇ちんは僕の手を引いて立ち上がらそうとしたけど、僕は少し力を入れて立ち上がろうとしなかった。
由薇ちんは不思議そうに僕の顔を覗き込んで眉尻を下げた。
『……怯えてるのか?』
どうして、そんなに勘が鋭いのさ。
抑えていた感情が突沸するように溢れ出てきて、目が熱くなる。
「……女は、怖い」
『……』
由薇ちんは黙って僕の隣に座った。
繋いだ手にぎゅっと力を込めて。
「……少し、昔話をしようか」
ポツリ、自分でも驚くぐらい吹っ切れた声で呟いた。