冷たい世界の温かい者達
「……悪かった」
小さく謝ると、由薇は驚いた様に目を見開いた。
『……頭でも打ったのか?』
「バカにしてんのか?」
はぁ、と溜息を吐いてタバコを握る手を我慢させる。
「……親のこと。
別に話させる訳じゃなかったんだが…」
『あぁ、別に気にするな。
しかも、親と言っても母親だけだ、死んだのは』
由薇は平然と頷いて少し笑った。
『しかし、お前には気を遣うという術が備わっていたんだな』
「……バカにしてんのか?」
二度言うと、本当にバカにされているようでイラッとした。
『でも、本当に気にするなよ?
別に私も母親が好きだった訳じゃないから』
笑った由薇の横顔を見る限り、嘘を言っているようには見えない。
……だけど、
声の、体の震えは…隠せてなかった。
「……そうか」
『うん、だから気にすんな』
どこまでも俺を思いやってくれる由薇に、少しだけ顔を歪めそうになった。
健気、そんな言葉じゃ、足りないーーー
それほど、人にしか尽くさないのだ。