冷たい世界の温かい者達




「……」





綺麗だと、言ってやりたかった。




俺が愛おしすぎて、強く握りしめすぎて壊してさえしまいそうな、由薇が。









綺麗だと、ずっと思っていた。







温かいと、思っていた。














だけど、








あいつはそれを望んだことはなかった。















だからこそ、








もっと頼れと言ってしまいそうになる。


















ーーーーそんな、野暮なこと言えるはずもないが。











自嘲気味に笑うと、今度は由薇が顔を覗き込んできた。



『朔? 行くみたいだけど…』




「あぁ」







大丈夫、時間はまだあるから。








握る加減を覚えるには






充分な期間があるはずだ。











< 247 / 372 >

この作品をシェア

pagetop