冷たい世界の温かい者達
「……」
綺麗だと、言ってやりたかった。
俺が愛おしすぎて、強く握りしめすぎて壊してさえしまいそうな、由薇が。
綺麗だと、ずっと思っていた。
温かいと、思っていた。
だけど、
あいつはそれを望んだことはなかった。
だからこそ、
もっと頼れと言ってしまいそうになる。
ーーーーそんな、野暮なこと言えるはずもないが。
自嘲気味に笑うと、今度は由薇が顔を覗き込んできた。
『朔? 行くみたいだけど…』
「あぁ」
大丈夫、時間はまだあるから。
握る加減を覚えるには
充分な期間があるはずだ。