冷たい世界の温かい者達
降りても、訳のわからない由薇は混乱していて千尋に説明を受けても疑問符を浮かべていた。
何もなかったかのように俺達は撮影室まで通された。
由薇はキョロキョロと周りを見ながら歩いていて、少し笑った。
「成一!」
一際高い声がホールに響くと、成一は眉間にシワを寄せてそっちを見た。
「……今日は何すんだよ」
そう、此処の全ての権限を持つ成一の母親の智美さん。
「あら、皆も来てくれたのねー」
「……お邪魔します」
「気にしないのよ。 衣緒くんと千尋くんも久しぶりねー」
「はい」
「おばさん少しやつれたー?」
ニコニコと笑う千尋と衣緒は目を細めて探るような目をしていた。
「影助くんと朔くんもーーーって、え?」
俺に目を向けて、斜め横下を見て目を大きく見開いた智美さんはそのままフリーズした。
「女、の子……」
『こん、にちは……』
突然そんな反応をされて、由薇もびっくりしたように智美さんを見た。
智美さんは眉間にシワを寄せたまま由薇に近寄り、肩やら顔やらベタベタと触りたくって、目を細めた。
「……胸が小さいのが惜しいけど、いいわね」
『………』
俺等に言われるならまだしも、今日会ったばかりの他人に言われてしまえば由薇は口を引き結んで拳を震わせていた。
「成一っ! 何でこんな可愛い子私に紹介してくれなかったのよッ‼」
「は?」
成一もその一言には驚かされたのか、間抜けな顔をしながら由薇と智美さんを交互に見た。
「ふふ…今日はこの子を使いましょ……」
……いやーな予感が俺達にまでした。