【短編】修学旅行の夜に

函館に着いた私達は、
グループで自由行動をしてから、
ホテルに向かった。





『修学旅行、林クンにアタックしてみれば?』





夕飯を食べている時、
ふと奈々が言ったコトを思い出した。





そして林クンの方を見てみる。





…林クンはクラスの男子とトンカツの奪いあいをしていた。






大体違うクラスなんだから話すきっかけが無いじゃん。




…あ、でもさっきの自由行動は出来たか。


林クンのグループと行く場所がほとんど一緒だったし。





でも「アタックしろ」と言った張本人の奈々は、
なんであの時は言わなかったんだろ…。




林クンのグループには奈々の彼氏もいて、
行動してる時はずっと彼氏にベッタリだったし…。


気付かないワケがない。




夕飯を食べ終えた後、
私は奈々に聞いてみた。







「奈々。」


「んー?」


「自由行動の時、なんでアタックしろって言わなかったの?」






なんか「アタックしろって言って欲しい」ように聞こえるケド気にしない。


他人の恋愛をからかう(特に私)のが大好きな奈々なのに…。






「………M。」




「はぁ?!」




いきなり何を言うのこの人!!




あ、やっぱり「アタックしろって言って欲しい」って聞こえたかな?





「あ、いやそーゆー意味じゃなくて「とにかく!」




…はい?


奈々が遮った。





「次函館山行くから、
そこでアタックしてみなさい!」






あッ、そーだった…。





一度ホテルを離れて私達はこれから函館の夜景を見に、函館山に登るんだった。





…やっぱりこういうのは好きな人と見たいよね。






「わかった。…頑張ってみる。」



「よし、頑張れ!!」






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