響〜HIBIKI〜

TAKAHIROは、次に出す曲のデモテープ作りの最中だった。

新曲が発売されたばかりだが、もう次の曲の準備だ。

アルバムの準備も同時進行で、TAKAHIROも忙しい。

そうは言うものの、花奏の打合せが気になる。

ブースから出るとすぐに携帯をチェックする。

（まだ、終わってないのかなぁ）

ソファにもたれながら、ため息をつく。

「あれ、TAKAHIRO、もう疲れちゃった？」

スタッフがそう声を掛ける。

「イヤイヤ、まだ全然大丈夫」

TAKAHIROは慌てて座り直し、デモテープの音を確認したり、歌詞を見直したりした。

「集中、集中！」

一人呟きながら、作業に集中していると、部屋の入り口が開いて吉川が入って来た。

「お疲れ〜」

「お、ヨッシー、打合せ終わった？」

「あぁ、バッチリよ」

「マジか。さすが敏腕マネージャー」

二人は軽くハイタッチ。

「あれ、かなちゃん？」

吉川がドアの方を振り返ると花奏がドアのガラス越しにこちらをのぞいている。

「かなちゃん、こっちこっち」

吉川が手招きすると、花奏はニコッとしてドアを開けた。

「失礼します。お疲れ様です」

花奏は、スタッフ達に頭を下げながらTAKAHIROの側へと近づいた。

「あの、新しくうちの事務所に入った子です」

吉川がスタッフ達に紹介すると、

「初めまして、花奏です。よろしくお願いします」

花奏が自分から挨拶をすると、TAKAHIROがニコニコしながら、

「かな、上手に出来ました」

と立ち上がって花奏の頭を撫で撫でする。

「え、この可愛い子はTAKAHIROくんの何？やけに仲良いみたいだけど」

スタッフが気に掛ける。

「彼女、PVに出てた子じゃない？」

他のスタッフにそう言われ、

「あ、そっか、だから仲良いんだ」

「あのPV出てた子かぁ。可愛いねぇ」

そう言われTAKAHIROは、またニコニコして、

「可愛いでしょ」

と自慢気にまた花奏の頭を撫で撫でした。