響〜HIBIKI〜
TAKAHIROの自宅に戻り、ほっと一息つく花奏。

「かな、疲れた?」

ソファにもたれながら、花奏の顔をのぞくTAKAHIRO。

「うん。ただついて歩いてただけなのにね」

笑いながら、そういう花奏。

「ま、始めは誰でもそんなもんでしょ。まだまだ、序の口」

そう言って、花奏の頭をポンポンと叩く。

「そっか、まだまだだよね。TAKAHIROさんも始めはそうだった?」

花奏はそう言いながら、TAKAHIROの肩に頭を乗せる。

「うーん、俺はオーデションだったから、どうだったかなぁ?緊張してばっかりだったのは、同じかな」

TAKAHIROは、当時を振り返る。

「そっか、オーデションだったんだ」

花奏も当時を思い起こし、うんうんというようにうなづいた。

「そう。だから、かなはラッキーだったんだよ。俺は、何万人ものライバルがいてその中から選ばれたけど、かなの場合は神様が直接手を差し出してくれてそれを掴んだって感じだろ」

「うん、そうだね」

苦労もなく、この道に進めるということは本当に有難いと実感した花奏だった。

「でも、俺も違う意味でラッキーだったな」

「違う意味?」

花奏は、TAKAHIROの言葉の意味が読みとれず、首を傾げた。

TAKAHIROは、花奏の肩をぎゅっと引き寄せ、

「神様が、俺にかなと巡り会わせてくれたから」

そう言われて、花奏は、火照る頬を押さえながらTAKAHIROの顔を見上げた。

二人は、顔を見合わせにっこり笑った。

そして、おでことおでこをくっつけて、目を閉じる。

TAKAHIROは、心の中で

(ずっとこの幸せが続きますように…)

そう祈った。

花奏は、

(神様、TAKAHIROさんに会わせてくれてありがとうございます)

と心から感謝するのだった。
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