私は彼に愛されているらしい2
「有紗。」

髪を撫でて呼んでみても反応はなかった。

考えよう、自分がどうすれば以前のような信頼と関係を取り戻せるのか。

真摯に対応して有紗の怯えた心を癒していくしかないのは確かだ。

「…大輔?」

半分眠りから覚めていない有紗がぼんやりとしながら大輔を呼んだ。

「ん?」

優しい声の応えに有紗は嬉しそうに微笑んでまた目を閉じた。

「ありがとう。」

「うん?」

何に対してのお礼なのか分からず大輔は首を傾げた、しかし有紗は満足気に笑って頭に乗せてある手を握る。

ただ嬉しかったのだ。

「有紗、デートしようか。」

大輔の言葉に有紗は大きく目を開いて見上げた。

「平日の夜でもいい、有紗が行きたいとこ行こう。」

「平日でもって…仕事は?」

「早く終わらせる。前に言ってたろ?平日の夜に映画とかディナーデートしたいって。」

「でも忙しいから無理かもって…。」

「有紗のが大事。それに俺もそういうのやってみたくなった。」

照れ隠しなのか視線を上に逃がしながら何でもないように大輔は答える。

今は有紗の笑顔が見たい。

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