私は彼に愛されているらしい2
ちらりと様子を見れば目を輝かせて頬を赤く染める有紗がいた。

「水曜日は定時の日だろ?どう?」

「うん…行きたい!」

「でも有紗の仕事は大丈夫なのか?」

「早く行ってカバーする!やる!」

意気込みが反動となって有紗は勢いよく起き上がった。

輝かせた目を大きくさせたまま大輔を見つめて口を開ける。

「本当にいいの?」

窺う有紗は瞬きを重ねた。

嬉しい気持ちと申し訳ない気持ち、そして不安が入り交じった思いでもう一度尋ねているのだ。

そんな有紗に微笑むと優しく頭に手をのせて大輔が目を細めた。

「楽しみだな。何がしたい?」

それは大丈夫だと言っているものだ。

有紗ははにかむように笑うと乗せられたままの大輔の手に触れる。

「ご飯…食べに行きたいな。パスタがいい!」

控えめに言い始めたが気分が盛り上がったのか今度は活き活きと自分のしたいことを口にし始めた。

そう、それでこそ有紗だと大輔はようやく少し安心して笑みをこぼす。

「今から調べるか。」

「でも大輔、そろそろ晩ごはんの時間だし明日は仕事だから帰らないと。」

「ああ、そっか。」

有紗に促され時計を見てみれば確かに18時を回ろうとしているところだった。

この時間まで来ればあっという間に明日に響く時間になってしまう、それが分かっているだけに有紗も諦めの表情だ。
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