私は彼に愛されているらしい2
「う~っ。」

あの時弱ってたからってなんで君塚の前で宣言してしまったんだ。舞もお昼を一緒に食べてる隣の室のみちるも、あの日は傍に居なくて近くにいた君塚に吐き出したのが運の尽きだと自分の不運を呪った。

ああ、もう最悪だと頭を抱える。

自分でも馬鹿馬鹿しいと思うこの計画は流石に恥ずかしすぎて職場で一番仲よくしてもらっている先輩方にも言えなかったのに。

「へえ~。」

言えば今みたいに馬鹿にした笑みを浮かべ、意地悪な舞が頬杖つくことぐらい安易に想像がつくのだから。

「ちくしょー。」

有紗のやりきれない思いが拳を作り短いスパンで自分の太ももを何度も叩く。

「計画倒れね。そんなんだから弱い男に引っかかんのよ。」

「いざとなったら僕が支えてあげるよ軍団ね~。隊員増えた?」

「おかげさまで!」

もうやけくそになった有紗は開き直って椅子の背もたれに体を預けた。ついでに腕も組んで完全に不貞腐れた格好だった。それは構えでもある。

「最近の流行りかと思うくらい、大抵の人は言ってくれますよ。有紗ちゃん大丈夫、いざとなったら僕が支えてあげるから。こう見えても頼りになるんだよ?」

そして拳を作っていた手を広げて有紗はまた自分の太ももを叩いた。

「何想定だっ!優男どもっ!背中で語れ、背中で!防御線張ってんじゃない!」

過去に出会った男たちをひたすらに呪う。おかげでいいネタを掴んだと口角を上げる人生の先輩たちに散々からかわれるのだ。

「でもさ、今度のその彼は有紗を守ってくれるって最初から言ってくれたんでしょ?いざ、じゃなくて頼もしいじゃない。何で駄目な訳?」

「だから、守るって何ですかね!?特に何も困ってないんですもん。プロテインで作り上げた筋肉を見せびらかされたって何もときめかないんです!私より色白だったし。」

「そこ別にいいじゃん。」

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