ノスタルジア~喫茶店を訪ねて~
 同じ気持ちだったことに、心は躍った。
ぼくの手は、彼女の長くて、美しい黒髪を、そっと撫でていた。彼女は、うつむいて、なされるがままになっていた。
 時間は動き出した。手は彼女から離れ、距離はどんどん長くなっていく。
彼女は部室に、ぼくは職員室に戻る。そこには何もなかったかのように、涼しい風が漂っているだけだった。
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