ノスタルジア~喫茶店を訪ねて~

③先生と私

 「ねえ、直子。佐多先生が亡くなったこと知ってる?」
久々の同窓会の帰り道。中の良かった友人が、ほろ酔い具合に、突然話を切り出した。
 駅に向かう道中、ふらふらと危ない友人を支えながら、歩いていた。じっとりと蒸し暑い夏の夜は、じっとり汗を流していく。
 友人は、私の反応に構わず、べらべらと話し出した。自宅で自殺していたこと、遺書はなかったこと。
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