恋しくて、
公園に来てから、男の動きは止まっていた。

ただ立ちつくしている。

友山「何か探しているのか?」

男の頭はあまり動くということをしなかったが、どうやら子どもの中に目がいっているようだった。

いったい、

友山「何をする気なんだ?」


???「パパーッ!」

遠くから、女の子の声がする。

あ、危ないっ!

そっちに近づいちゃ…

男「おおー、くるみーっ!」

俺は一瞬何か鋭いもので体を突き刺される気分に陥った。

男のあげた声は、あまりにも衝撃的だった。

くるみ「パパ。」

どうやらその女の子は、紛れもなく男の娘であり、男が捜していたものにちがいない。

男「元気してたかー?くるみ。」

くるみ「うんっ!」

男「ママはどうや?元気か?」

くるみ「げんきだよぉ。いつもくるみのことよしよししてくれるのー。いまはおしごとだよぉ。」

男「そうかぁ。かわいがってもろとるみたいやな〜。」

くるみ「パパはいつおうちかえってこられるのっ?」

男「うん?そやなぁ、くるみがあとこんくらい背が伸びたら、パパ帰ってくるで〜。」

女の子の頭上に高く、男の大きな手が浮かんでいた。

くるみ「じゃああ、くるみ、たぁ〜くさんごはんたべなきゃ。」

男「せや、野菜とか好き嫌いせんとたくさん食べ。」

木陰から見える男の顔は、何とも柔らかかった。
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