貴方からの卒業証書。
「ここは?」
「僕の地元です。優那、これを」

そう差し出されたのは、指輪の入った箱だった。

「卒業式の後。直ぐに答えを出さないで君を傷つけて悲しませてしまいました。
でも、これから先は悲しみも苦しみも喜びも僕と分かち合いませんか?」
「陽輝さん」
「優那。僕は優那が好きです。愛しています。
君となら悲しみや苦しみは半分に喜びは倍になります。僕の幸せは君といることです。その幸せを永遠のものにしたいです」

陽輝は深呼吸をする。次の言葉を待つ。

「優那。僕と結婚してくれませんか?」
「はい。宜しくお願いします」

優那は涙を浮かべ、何度も頷いた。

「本当は先に優那のご両親に挨拶するべきなのでしょうが、先に僕の両親に会いましょう」

笑顔の陽輝、そして陽輝のご両親。
結婚に壁があるのではと不安になったこともある。でも、皆が笑顔で祝福してくれた。
だから、自信を持って陽輝を同級生達に紹介出来るのだ。

─彼が婚約者だと─
< 29 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop