貴方からの卒業証書。
翌日。隣の駅に優那、陽菜、貴大がいた。

「で、尾行開始場所が此処?」
「仕方ないだろ。竹本さん家、知らねえもん」
「つまり、この駅に来なかったら無駄足ってことか」

この近くには駅はここだけ。バスも此処から出てる。
近場で買い物しない限りは此処にくるはず。そう貴大は予想したのだ。

そして、その予想は……的中した。

「あ……、竹本さん」
「嘘!」
「声がデカい。陽菜」
「ごめん……」

眼鏡をかけているけれど、好きな人を見間違える訳がない。
電車かバスかどちらに乗るのだろうか。陽輝はバス停に並んだ。

「バスでどこに行くんだろう……」

陽輝と二人の女性を挟んで同じバス停に並ぶ。
少ししてやってきたのは、此処では一番大きな病院を通るバス。それに乗った陽輝に習い、三人も乗る。そこには、お年寄りばかりが乗っていた。
陽輝はイヤホンを取り出し、耳に付け、鞄から本を取り出す。

「何、読んでるんだろう」
「歴史関係の本じゃない?」

時々、揺れるバス。けれど、陽輝は微動だにせずに本を読んでいた。

「次は病院前。降りる方はお知らせ下さい」
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