World Walker
姫羅木が浮遊したまま掲げた右手。

その手に、何とも形容し難い色の炎が発生する。

真紅、紫、深緑、黄金。

様々な色が入り混じった、複雑な色彩の炎。

…人々の寝静まった夜中、提灯のような火が点滅しつつ、十個から数百個も行列をなして現れる。

それを狐火という。

狐霊ならば大抵は扱えるであろう力。

しかし天狐である姫羅木の狐火となると、その威力も効果もまるで違ってくる。

「篤と味わえ」

フワリと姫羅木の手から投げ放たれた狐火は。

「!?」

彼女の手から離れた途端に、急激に速度を増して襲い掛かってくる!

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