World Walker
「何っ、きつねっ?」

それを聞いた途端に、姫羅木の狐耳がピコッと片方立ち上がる。

以前千春にインスタントのきつねうどんを食べさせてもらって以来、姫羅木はいたく気に入っていた。

今では稲荷寿司と双璧を為すほどの大好物。

万が一稲荷寿司がない時の切り札として、千春はスーパーの倉庫にストックを保管しているのだ。

「ま、まぁ…きつねうどんを食わせてくれるというのならば…わらわは寛大じゃからの…怒りをおさめてやらん事もないが…」

そう言ってスルスルと。

甘えるように白銀の尾を千春の腰に回す姫羅木。

早くきつねうどんを食わせろと、オネダリするようにさわさわと動かす。

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