World Walker
あんな月は、りせは見た事がなかった。

大きさもさる事ながら、まるで血の色を連想させるような真紅の満月。

この世界では、月はいつでもあんなに真っ赤に染まっているのだろうか。

不気味なまでに周囲を赤く染め上げる満月は、不吉な印象さえ感じさせる。

そしてその印象に拍車をかけるように。

「うっ…」

下り坂に差し掛かったりせの目に飛び込んできたのは、どこまでも続く広大な墓地だった。

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