World Walker
「二つ間違っているな」

黒い外套の中から手を出し、指を二本立ててルドルフは言った。

「一つ、今は夜ではない」

「え…だってこんな真っ暗じゃない、夜じゃなかったら何で…」

「ここには太陽は昇らない。常に暗闇だ。だから昼と夜の区別がない」

「か、変わった世界なのね…」

大真面目に言うルドルフの言葉に呟くりせ。

「二つ、街の方へ向かうのは間違いだ。自殺行為と言っていい」

「何でよ、人のいる場所に行かなきゃ宿が見つから…」

「あの街は『死体置き場通り(モルグストリート)』といってな、下級悪魔や食人鬼どもが住んでいる集落だ。宿どころか、君のような娘が迷い込めば死ぬまで犯された挙句に生きたまま臓物を貪られるぞ」

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