World Walker
…馬鹿な女だ。

ルドルフは内心思う。

ルドルフ自身は、『終末の光』を放った直後に次元移動の魔法で別の世界へ跳ぶつもりでいた。

ルドルフ自身もそうだが、悪魔や魔物など他の世界や他の種族に害しか与えぬ下賎な存在だ。

『終末の光』で巻き添えを食って魔界ごと滅びてしまおうが些かも心は痛まぬ。

なのにりせは…この女は『終末の光』で自分は勿論、それを放ったルドルフや魔界の住人達の身に危険が及ぶ事を案じている。

「君は…俺を退治するつもりだったのではないのか?」

「ええ、そうよっ…でもっ…」

血が滲んでも尚、歯を食い縛るりせ。

「悪魔だろうが何だろうがっ…殺しちゃうなんて寝覚めが悪いじゃないっ!」

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