World Walker
第五の、そして最後の世界

この世ならざる森

電話を切り、スマホを尻ポケットに入れる。

先程まで頬を赤らめてマー君との会話に興じていた年頃の乙女の顔はどこかへ失せ、一介の戦士のような表情へと変わる。

りせは無言のまま、目の前の光景を見た。

曇天の空、鴉の群れが上空を旋回しているのは、死肉の臭いを嗅ぎ取っているが故か。

それほどに、この世界…とりわけ目の前の光景には『死の影』が付き纏っているように思えた。

鬱蒼と木々が生い茂る、森…。

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