World Walker
ズズッ、と後ずさりする来栖の両足。

それを見ながら。

「…アルベルトと出会ってなかったら、こんなパンチ覚えられなかったわ」

りせは呟く。

「それに姫羅木の狐火を見てなかったら、きっとアンタにいいように嬲り殺しにされていた」

「…何の話だ」

口元の血を拭う来栖。

…この陰鬱な樹海の奥深く、非ず者達の館に閉じこもっている来栖には理解できまい。

しかしりせは、今心の底から感じていた。

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