World Walker
その言い草に。

「いちいち腹が立つわねアンタ!」

ツカツカと歩み寄ったりせが、紅を見上げた。

「おっと…気に障ったか?」

「何が気に障ったか?よ!わざとでしょ?その帝国との戦に私を利用しようってんでしょ!そこまで言われちゃ私も断れないし、何よりアンタなんかに守られなくても、私はアンタよりずっと強いわよ!」

踵を返し、りせは謁見の間から出て行く。

「乙女!私のサイズに合う鎧と剣を準備しておいて!その帝国とやらに打って出るわよ!」

バタン!と激しい音を立てて扉を閉めるりせ。

「…紅」

乙女がもう一度紅を窘めるが。

「おいおい…俺を悪者みたいに言うな…話を手っ取り早くしてやっただけさ」

彼は笑う。

「あの娘から感じる『力』…奴は相当な剛の者だ…この彼の地の恒久の平和の為、奴の力を借りたかった…お前とてあの娘の『力』を見抜いていたのだろう?乙女」

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