キミに会いたい



 「痛‥っ!」


 「類、大丈夫!?怪我ない?」



 ぶつかった反動でドサッと道端に座り込んだ類を見て慌てて駆け寄って声を掛けた。



 「ちょっと擦りむいただけ。大丈夫だよ、春乃姉ちゃん!」

 「良かったぁ‥」


 怪我がないか慌てて確かめようとする心配する私に、少し笑って言ってくれた。



 本当に大した怪我じゃなくて良かった‥!



 そんな様子の私達に声を掛けたのは、類にぶつかった浪人だった。



「おい小僧!何処見てんだ、あ゛ぁ?」


浪人の苛立つ声にビクッと身体を揺らす類が不安そうに私の手を握ってきた。


類‥………


類を庇うようにギュッと後ろから抱き締めて「大丈夫だからね」と類の耳元で囁くと、キッと浪人を睨みつけた。




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