あの時も、これからも
夜空には瞬くいくつもの星がある

その輝きを見つめてしるふはふと笑みをこぼす

「しるふ?」

どうやら星を見ていたら足が止まっていたようだ、追いついた海斗が不思議そうな顔を向けてくる

海斗に視線を向けたしるふは、なんでもないよ、というように静かに首を振る

あたりは時間が遅いせいかたまに通る車の音しかしない

しるふはふと静かに瞳を伏せた後、そっと海斗の手を握る

自分より大きなそれに優しく指を絡ませる

ひんやりとした海斗のペアリングの感触が伝わってしるふは、ただその事実に微笑む

こうやって変わらない日常を送れるだけでいい

それが何より大切で愛おしい

でも、時々思うんだ

このままってことはないだろうから、いつか何かしらの形で落ち着くんだろうけど、それはどういう形なんだろうって

以前、海斗に「結婚とか考えてる?」って聞けたのは、たぶんこの温もりを失うことをあまり考えていなかったから

海斗も「仕事したいだろ?」なんて本気で結婚したいと思っている彼女を幻滅させる言葉が言えたのは、きっとあの時だから

付き合ってまだ日が浅くて、それでもたまにお互いの行く末なんかを考える時だったから

でも今はもう怖くて聞けない

< 2 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop