あの時も、これからも
そして今妊娠中なのだ

一応安定期に入ったから、といって普通に仕事をする莉彩に医局のメンバーは渋い顔をしたのは言うまでもない

確かに3月と4月は忙しい

だから要領のわかっている古株陣にはできるだけいてほしい

が、がだ

それで流産にでもなったら旦那さんに申し訳が立たん、と医局長はじめ、海斗やしるふ、そして看護師たちは口をそろえた

一応莉彩のシフトは莉彩が疲れすぎないように配慮されているが、いかんせん、彼女自身のやる気が恐ろしい

お願いだから自分の体を考えてー、としるふはよく莉彩に言っている

これは海斗が「しるふが言うのが一番飯田には効くと思う」と言ったからなのだが

「別に海斗は私以外の女に興味がないわけじゃないんだけどなー」

「いやいや、しるふが知らないだけ。黒崎先生が他の女追っかけてるところなんて見たことないもん」

積み上げられたカルテに頬杖をついて莉彩はしみじみつぶやく

「いや、ほらだってさ、姪の可奈ちゃんとかうちの美沙とかは気に掛けるし?親友の彼女さんとかお姉さんとかさ、ちゃんと気にかけてるよ?」

「気に掛けるの意味が違うのよ。しるふに対してはそれはそれは強固な鉄壁の守りを敷いてるじゃない」

それに身内を気にかけるのは当たり前ー

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