あの時も、これからも
「そっかなー」

確かにたまに過保護ー、と思うことはあるけれど、そこまで自分だけが気にかけられているという実感はない

「それに黒崎先生位徹底してた方がしるふには合ってるって。しっかしてそうに見えてさ、しるふって意外ともろいところがあったり、でもそれを隠したりするでしょ?うらやましいーぞー、あれだけ外目に見ても想われてるって」

あそこまで一途な男も珍しいわよねー

莉彩が感嘆したように頷く

「そういう莉彩は新婚ほやほや、現在妊娠5か月の順風ライフじゃない」

「ま、ね。この流れでさ、しるふたちも結婚すればいいのに」

「えー、私逆プロポーズとか絶対いや」

「あー、わかるけど、三十路を過ぎた女がんな悠長なこと言ってなさんな」

「三十路って言わないでー」

と二人で笑いあっていたら、海斗と医局長がガラス張りのドアを開けて入ってきた

お疲れまさでーす

その姿にそう二人で振り向く

「お疲れ」

「お疲れ様」

海斗と医局長も口ぐちにしるふたちに返す

「しるふ、今日夕方には上がるよな」

コーヒーを入れた海斗がしるふの隣、並べられた机の椅子に座りながら視線を向けてくる

「うん、それがどうかした?」

「いや、ただの確認」

そういって仕事を始める海斗の横顔に何かいつもとは違う雰囲気を感じて、しるふはふと首をかしげる

< 6 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop