エリートなあなたとの密約


ソフィアさんは本当に気さくであり、自分をしっかり持った人だ。修平とは顔立ちこそ似ているものの、性格はまるで違うと思う。


どちらかといえば、義弟の琉平(りゅうへい)さんの方がその性質を受け継いでいるかもしれない。


ちなみに琉平さんは私たちに次いで年内中に結婚式を挙げるので、今から出席させて貰えるのが楽しみのひとつだ。


とはいえ、その前に私たちが都内で披露宴を行うことになっている。その際の招待客はほぼ仕事関係者ゆえ、名古屋とはまた違った緊張感もあるだろう。


ソフィアさんと母がそれにも張りきっていたのを思い出して笑うと、隣の修平が不思議そうに私を見て首を傾げた。


「ふふ、あのね、修平のご家族ってほんとに面白いなぁとか色々思ってたの」

「違うよ」

「え?」ときょとんとする私の手を、もう一度きゅっと握った彼の顔を見つめる。


「もう真帆も家族だから」

「……ありがとう」

名古屋入りする前に都内で入籍を済ませ、昨日は式を無事に挙げてきたところなのに。


まだ心の何処かで信じられずにいたから、彼の優しいひと言がすごく嬉しい。


それに結婚してなお一層感じるのは、本当に私はこの人が好きなんだということ。


だから、誰よりも尊敬している最愛の人のダークグレイの瞳を見たのち、こそっと耳元で囁いた。


「私ね、これ以上ないくらい幸せだよ」

「……一緒」と笑い返してくれる修平に出会えたから、私も人としてほんの少し成長出来たと思えるの。



結婚は決して人生のゴールじゃない。新たなフィールドにふたりで立ったばかりに過ぎないから。


これからは笑顔も涙も喜びも悲しみもすべて合わせて、ふたりの思い出を積み上げていきたいな……。


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