禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
リヲのあまりの機嫌の悪さに、他のテーブルに居た兵士たちが怪訝な顔で注目したが、ミシュラだけは可笑しさを堪えてクツクツと口の中で笑うのだった。
「ようは君は、可愛い妹にそんなお飾りの騎士団長をやらせるのが嫌なんだね?」
「お前は人の話が理解出来ないのか?
…ああ、もういい。
アンは…聖乙女殿の訓練は副長であるお前に一任する。団長命令だからな」
そう忌々しげに吐き捨てるとリヲは再び音をたてて立ち上がり、ミシュラの顔を見ないようにして部屋の隅に向かって歩き出した。
「何処へ?」
聞いたミシュラに、リヲは壁に立て掛けてある訓練用の剣を取りながら
「訓練場だ。剣でも振らなきゃやってられん」
と無愛想に答えて部屋から出ていった。