禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
開始の合図と共にアンの姿はミシュラの視界から消えた。
それがどういう事か理解する前に、ミシュラは懐に殺気の籠った剣圧を感じ寸手の所で後ろに体を反らした。
身を低く構えたアンが獣の様に一瞬で自分の懐に飛び込んで来たのだと理解したのは、彼女の剣が反らせた自分の顎を掠めた瞬間だった。
---なんだ!?今の動きは!?
動揺しながらもミシュラは、アンが体勢を直した隙に後ろに跳ね退け間合いを取る。
水を打ったように静まり返った訓練場が一斉にどよめいた。
けれどアンは立て直した体勢をそのまま次の攻撃体勢へと無駄のない動きで移行し、ミシュラに構え直す暇を与えない。