禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
青年は、不機嫌だった。
銀にも近い薄鈍色の髪をクシャリとかきあげて、さっきから狭い詰所の中を行ったり来たりしている。
「そんなに妹ぎみが心配かい?リヲ団長殿」
樫製のテーブルに肘を付きながら椅子に座っている男が、ニヤニヤしながら銀髪の青年に声を掛ける。
リヲと呼ばれた青年は男の方を振り返ると
「心配なんじゃない。苛ついてるだけだ」
と、不快を露にしながら切れ長の目で男を睨んだ。