スイートペットライフ
***

部屋に戻ったあと、同じベッドになんとか潜り込もうとする大倉さんを阻止してベッドにもぐりこんだ。

「こっちに来たら、明日から髪の毛一週間さわらせませんからね!」

彼は私の髪をとかして、出来上がったポニーテールをモフモフするのが最近のお気に入りなのだ。

「モフモフ禁止!?」

驚愕の表情をみせられる。彼にとって“モフモフ”がどれほど大事なんだ?

すごくすごーく悩んだ大倉さんはしぶしぶ自分のベッドに入った。

「おやすみ、ミィ」

そう言って先にベッドに入った私をしっかりと見つめてきた。

そんなに見られると眠れない……。

私は布団を頭までかぶって、大倉さんの視線から逃げた。

***

物音が聞こえてふと目が覚める。

大倉さんの視線から逃れ、どうやらそのまま眠ってしまってたみたい。

暗闇の中、目を開けて神経を眠りの中から呼び起す。

隣から激しい寝返りをうつ衣ずれの音と、うめき声が聞こえてガバッと身体を起こす。

「大倉さん?」

私は彼の今まで聞いたことのない絞り出すような声に驚き、ベッドに駆け寄った。

「……う…ぁあ。僕なにも聞いてないから。ね…」

眉間には皺がより、玉のような汗もかいている。苦しそうな彼の姿を見て思わず声をかける。

「オミ君!オミ君!」

名前を呼びながら、肩をゆすった。

すると苦しそうにもう一度呻いた後、肩をゆすっていた私の手を掴んだ。

「行かないで!」

そう叫びながら、目をバチッっと開いた。

そして目の前の私の顔をみて驚く。
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