スイートペットライフ
「ねぇ、ミィ。しりとりしよっか~」

「はぁ?いいですけど何で?」

「親睦を深めるため?」

相変わらず大倉さんの言うことは意味不明だ。

「じゃあ、コンビニ」

先手必勝とばかりに私から始める。

「ん~ニコニコ笑顔」

なにその標語っぽい回答。不思議に思いながら答える。

「おおかみ」

「みずみずしいさくらんぼの唇」

まだまだ続く謎のことば

「ルームサービス」

「すべすべピンクのほっぺ」

「ペルシャ猫」

「子供みたいにすぐアタフタするところ」

いや、やっぱり変だ。

「あの~大倉さん普通しりとりって名詞でするものですよね?なんか変です」

不満で思わず唇がつきだしてしまう。

「ぜ~んぜん変じゃないよ!だってこれはミィの素敵なところを挙げていくしりとりだもん」

いやいや一体全体いつそんなルールができたの?その変態ルールが世界共通みたいに言われても困る。

「もう、そんな恥ずかしいしりとりやめてください」

人通りが少なくて本当に良かった。誰かに聞かれでもしたら赤面だけでは済みそうにない。

「ん~だって仕方ないでしょ。可愛くてたまらないんだもん」

とろ~んと蕩けそうな笑顔で言われて、私の身体の熱が頬に集中する。

この人は無自覚でこんな顔をしているの?だとすれば本当に罪深い。

嘘やお世辞でこういうことを言わない人だとは思うけれど、本人を目の前にして恥ずかしくないのかな?言われたこっちは死ぬほど身もだえしているというのに。

自分が大倉さんにとってペットだということは痛いほど分かっている。だけど最近はそういうことを考えないようにしていた。彼が私自身を見て大事にしてくれていることが分かったから。

二人で笑いながらマンションへと到着した。

手をつないだままエレベーターに乗り、手をつないだまま部屋の施錠を解除して二人でドアを開けた。

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