スイートペットライフ
まっすぐな長い脚はきっと私の歩幅の倍ぐらいあるはずだ。

だけど私が急ぎ足をしていないと言うことは、私の歩幅に合わせてくれているということ。

そう考えると少し胸があったかくなった。

決して悪い人じゃないんだ。決して。

ただちょっとアレなだけで。

「で、どこに行くんですか?」

「ん、病院。健康診断と予防接種」

「あのーそれもあの本に」

「ん、そうそう」

そうそうって…。

心の中で突っ込みを入れていると角に動物病院が見えて来た。

まさか、獣医に私を診察させる気じゃ…。

「あの、大倉さん―」

そう言った私をギロリと睨んだ。

「あ、オミ君」

こちらを向いて二コリとする。

「あの、もしかしてあの病院じゃないよね」

「えーそうだけど」

「いくらなんでも、私獣医は――!」
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