スイートペットライフ
エステで全身雑巾のように絞られた後は、ガウンを着せられたまま鏡の前に座らされた。

鏡から見える私の後ろに立つ男性はゴリラにしか見えない。

ゴリラなのにピンクのスカーフ。

みかけだけで判断してはいけないと分かってるけど、この人に今からいいようにされてしまうのか…。

自分が流されやすいのは十分自覚があったけど、もうここまで来たら何にも逆らわずに行こう。行きつくところを見てみたい気がしてきた。

「あらぁ、あなたの髪ぱっさぱさね。潤いもなんもあったもんじゃない」

そういって私の再度の髪を持ち上げてからパラパラと落とす。

想像通りの話かたで、逆に驚いた。

「大丈夫よぉ。このアタシにかかったらあんたみたいな田舎の匂いしかしない女でも極上にしてあげるから。腕がなるわ~うふふ~」

なんだか職人魂に火をつけてしまったみたい…。

「いくわよ~」

鋏をもったまま‘にやり’とゴリラが笑う。

「お、てやわらかにお願いします」

私はそう答えるのが精いっぱいだった。
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