最愛~あなただけが~
「あ~っ!
 都築チャン、それ新しいピアスじゃない?
 彼氏からのクリスマスプレゼントぉ~?
 アゴの下にキスマークまでつけられちゃってー。」


 翌日、朝出勤して駐車場で一緒になった木根さんは、目敏くピアスを見つけて私をからかった。

「ちょっ・・・
 木根さんっ。やめてよ!」

 私は、少し先を歩く鷹野さんの後ろ姿を見つけて、慌てて木根さんの口を手で塞ぐ。


 本当は、佳からプレゼントされたピアスをつける気にはなれなかったけど、
 昨夜は泊まって、朝は私の部屋から出勤していった佳の手前、つけないわけにはいかなかった。


 はぁぁ・・・と、私は大きな溜め息をつく。


「何なに~?
 昨夜は愛され過ぎてお腹いっぱい?」

「んもぅっ。違うって!」


 木根さんとそんなやりとりをしながら、チラリ。と、先を歩く鷹野さんを見た。
 すると、鷹野さんが少し立ち止まって、タバコに火を点けたのがわかった。
 歩きタバコをしない鷹野さんが、珍しい・・・




 この日、鷹野さんは朝礼が終わるとすぐに外出して、私が退社するまで戻って来なかった。





第3章【揺れる想い】fin.
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