キミだけ。
 
 どこにそんな金あるのよ…


そう突っ込みたくなったが、それ以上に気になっていたことを口にした。


 『なんで引っ越し?っていうか、その服は何?』


私の母親は、それはそれはめちゃくちゃ高そうなこれまで見たこともない、

 私の家では到底手の出しようがないような服を着ていた。


 もしかして盗み? 


 そんなことも考えてしまった。


 自分の母親がもしそんなことをしてしまったとしたら… 

 そんなことを考えていると、


 「やぁねぇ、人聞きの悪い。買ったにきまってるじゃない。」


 え?

   あなたエスパーでしたっけ?

 

 「何言ってるの。ずっと声に出てたわよ」


 マジですか…


 マジよ。というお母さんの声が聞こえてくると、少し笑いたくなった。
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